久坂部 羊の「ブラック・ジャックは遠かった 阪大医学生ふらふら青春記」

  「ブラック・ジャックは遠かった」(新潮社文庫)を買って読みました。題名から受ける印象を裏切らず、人間味あふれる著者(医学生の頃)がエッセイの中で活き活きとしています。読みながら、昭和の時代に受験戦争とか企業戦士などの言葉ができたにもかかわらず、この時代、どこかおおらかなところもあったなあと懐かしく思いました。いろいろなことに興味を持つ著者には滑稽なエピソードが多々あります。思わず笑ってしまうこともありました。久坂部 羊というペンネームの由来も、読むとわかります。
  「廃用身」「破裂」「無痛」などの作品を読みましたが、医療問題や社会問題をからめ、奥の深い読みごたえのある小説だと思います。昨年は「破裂」と「無痛」がドラマ化され、やったーと思い、両方とも観ました。今、「無痛」の続編ともいえる、「第五番  無痛II」を読み始めたところです。どうなるか楽しみです。